コーディネーターの極意とは

コーディネーターの極意とは?

岡﨑 広樹 氏(芝園団地自治会事務局長)

自治会の事務局長でもあり、協働で実施した事業のコーディネーターとして取り組んだ岡﨑さんに、岡﨑流のコーディネート術についてお伺いしました。

協働で事業を進めるうえで、コーディネーターの役割はどのようなことでしょうか?
また、コーディネーターに必要なことは何でしょう?

コーディネーターの役割とは、関係者の意見の違いを把握し、忍耐強く調整することだと思います。様々な人々が一つのことに関われば、意見や立場の相違は必ず出てきます。それぞれの立場や経験を踏まえて発言しているだけなので、基本的にどの意見も間違ってはいません。何もしなければ、一つの目標に向かってまとまりにくい状況が続いてしまいます。
その一方で目的の達成には、各関係者の協力が必要不可欠です。そこで、コーディネーターには、関係者の意見の違いを把握しながらお互いに協力できる範囲を見定めること、また、実際に事業を進めるうえで、忍耐強く調整しながら物事を進めていくこと。この2つの役割が求められると思います。

 
コーディネーターの役割を果たすうえで必要になることは、以下の3点と考えます。

  1. 相手の意見を否定しないこと
     最初から意見を否定してしまえばお互いの関係が悪くなり、協働することが難しくなってしまいます。上述の通り、意見の違いは決して間違っているわけではありません。そのため、関係者の意見を否定しても意味はなく、むしろ、様々な意見をふまえながら、協働できる範囲を見定めることが必要だと思います。仮に、関係者の意見が目的にそぐわないものだったとしても、一旦はその意見を受け入れることが大切です。

  2. 自分の理想を押し付けないこと
     コーディネーターが強い理想を持ちすぎていると、相手にその理想を押し付けたり、相手を否定したりしてしまうかもしれません。また、物事がうまく運ばない場合には、悲嘆にくれてしまうでしょう。
     関係者の意見は違って当たり前ですから、自治会と外部の人や組織との協働は、スムーズに進まないのが基本です。これをふまえて、まずはできる範囲のことを少しずつ進めながら、地域の中に小さな変化を起こしていくことが重要です。
     私たち人間は、どんなに説得されても、どんなに書籍を読んでみても、それだけで物事を納得して受け入れることは難しいと思います。しかし、自分で体験すれば、身体が現実を理解する。その結果、自然に行動や考え方が変わっていくものです。
     地域活動では、理想を語って説得しようとするよりも、地域住民が自然に変化できるような小さな体験の機会を増やしていくことが大切だと思います。そのためには、根気強く地道な試行錯誤が必要です。同時に、様々な失敗をしつつも最終的に目的や理想を達成できればよい。そう割り切った心持ちが必要になるとも考えています。
  3. 焦らずに腰を据えて活動すること
     地域活動では、最終的に人と人との関係に多くのことが集約されます。つまり、地域住民からの信頼を得なければ、人と人、人と組織、組織と組織の間をつなぐことはできません。まずはコーディネーター自身が、地域住民や外部の人・組織との信頼関係を築くための時間が必要です。
     私に対する周囲の目は、芝園団地に住み始めた1年目が「怪しい人」、2年目が「不思議な人」、3年目が「風変りな人」、4年目が「頼れる人」、5年目が「地域の人」と変化していった気がします。信頼関係を築くためには、最低でも5年の歳月が必要ではないでしょうか。
     私は、芝園団地での活動を「3歩進んで2.5歩下がる」と説明してきました。2014年の活動開始から8年間で、わずか「半歩」しか進まなかったという認識です。それでも、焦らずに腰を据えて活動すれば、前向きな変化が起きていくことも事実でした。
     「隣近所の多文化共生」を推進する試行錯誤は、国籍を問わず誰もが住みよい地域社会につながっていく。わずか「半歩」だったとしても、そう実感しているのがまた偽らざる本音です。

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