協働のポイント
本調査では、「協働」によって地域コミュニティの活性化や課題解決が達成された10事例を取り上げました。ここでは、これらの事例の大きな成功要因である3つのポイントを紹介します。
協働の主なポイント
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協働は目的達成のための「手段」
- 丁寧な「目的」の共有が協働の第一歩
- 団体の想いや意見を翻訳する役割が重要
1.協働は目的達成のための「手段」
本調査の事例では、「町会・自治会のメンバーだけでは思いもよらなかったアイデアをもらって、コロナ禍でも実のあるイベントが実現できた」、「町会・自治会だけでは地域の外国人住民が何を考え、望んでいるのかがわからなかったが、国際協会に橋渡しをしてもらえて心強かった」といった声がありました。これらは協働の効果が形になったものと捉えることができます。
協働を検討するにあたり忘れてはならないことは、協働はあくまでも「手段」であるということです。地域コミュニティの活性化や地域課題の解決のためには様々な手段や方策があり、協働はそれらのツールの1つに過ぎません。しかしながら、異なる強みを持つ者同士の協働は、有効に作用すれば大変強力なツールになり得ます。
今回インタビューに協力いただいた町会・自治会の事例では、「協働」を意識せずに取り組んでいるケースも見られました。それは、「こうなったら良い」という理想のイメージが互いに共有され、それぞれの強みを発揮できたことによって、効果的な協働が実現できたということではないでしょうか。
2.丁寧な「目的」の共有が協働の第一歩
上述の通り、効果的な協働を実現するには、協働する者同士が、目指すゴールはどこか、どういう方法でゴールまで進めていくのか等について、共通認識を持って取り組むことが大切です。そのためには、団体の文化の違いや言葉の使い方からくる誤解やすれ違いが生じないよう、準備段階で丁寧に認識を擦り合わせることが肝心です。
今回取り上げた事例では、定期的な話し合いの場を設けたことで信頼関係を築くことができ、スムーズに事業に取り組むことができたという声もありました。コロナ禍においては直接顔を合わせる機会を設けることはなかなか難しいかもしれません。一方でオンラインツールの種類が増えるなど、オンラインと対面とをうまく使い分けることで継続的なコミュニケーションを図ることができる環境が整ってきています。
何のために協働するのかという「目的」や、ゴールまでの取組イメージなどについて、協働する者同士が同じ絵を描いていくことにより、事業の成功や協働の成果の獲得へとつながります。
3.団体の想いや意見を翻訳する役割が重要
町会・自治会と、協働先である企業や大学・NPOなどは、設立の経緯も目的も異なる団体であり、意思決定の方法や事業を進めるスピード感も異なります。どちらかのやり方だけで物事を進めたり、一方的に要望したりするだけでは協働は成り立ちません。そこで、異なる風土や文化を持つ双方の状況を把握し、その想いをくみ取り、中立的な視点から調整する「コーディネーター」の存在が重要となります。
コーディネーターが団体の間に入って双方の想いや意見を整理・翻訳し、誤解なく意思疎通を図れるように調整することで、協働に不可欠な信頼関係を築くきっかけが生まれます。
事業終了後の関係の継続を考慮すると、両者の事情を把握している地域のコーディネーターが入ることが望ましいのですが、第三者ではなく関係者の誰かがコーディネーターの役割を担うという方法もあるでしょう。
協働事業の展開においては、各団体の想いや意見を翻訳できる人を意識的に設けることが、協働の成功への近道であると言えます。
【参考】

A:事業は成功し、成果の評価が高い ↔ 協働関係が対等でないなど信頼関係が構築できず、協働の評価は低い
B:事業はうまくいかず ↔ 協働は別の波及効果が大きく、成功
C:事業成果の評価が高く、協働の達成率も高い(理想)
D:事業は中途半端に終わり、協働もお互いの良さを引き出し合えず失敗
出典: 仙台市発行、特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター監修「協働の評価」『仙台協働本-協働を成功させる手引き』(平成17年1月)より作図
<https://www.city.sendai.jp/kyodosuishin/kurashi/manabu/npo/shingikai/shingikai/documents/sankou3korabon2170.pdf>
【参考資料】
・特定非営利活動法人日本ボランティアコーディネーター協会「ボランティアコーディネーターとは」
<https://jvca2001.org/whats_vco/explanation/>
わたしたちのまちづくり
(協働事例集)